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2014/05/30

金曜の21時台、大手町から飛び乗った列車はそれほど混むでもなく立っている人間もまばらだった。


 
5月の夜、東西線に乗り込んだ東野誠一郎は上機嫌だった。
3月に完遂するはずだったプロジェクトの残務がやっと終わり
今日は公式な打ち上げが八重洲口で行われたのだ。
パーティには本社の重役も顔を出していた。
みなプロジェクトの完遂に浮かれていた。
笑顔だった。

それでも結構、長かったよなあ

金曜の21時台、大手町から飛び乗った列車はそれほど混むでもなく
立っている人間もまばらだった。
角の席を確保した誠一郎は一人思いに耽った。

実際、悪いプロジェクトではなかった。
大手町の関連会社に出向を命ぜられて3年目
各支社から本プロジェクトに推薦され集められた連中はみな優秀で
明るく前向きな若者が多かった。
頑固なのは兎も角として扱いに困るような上司もおらず
技術的なブレイクができるかどうか
ただその一点に向けて全員が立ち向かった
そんなプロジェクトだった。

エリートじゃないけど俺だって上への道はあるよな。
成果は出したし、全国の支社にも知り合いができた。
きっと本社の覚えも良いだろう。

誠一郎は今日の打ち上げの勢いそのままに、将来の自分の姿を想像し妄想を楽しんだ。
そして、誠一郎のうきうき感を更に高めていたのは帰郷への思いだ。
予定より2ヶ月遅れたものの、来月、事務手続きが終われば
故郷の広島に帰れることになっていた。

そして故郷には幼馴染の湊愛子が待っている。
二人は半年後に結婚する約束になっていた。
 
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