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2005/10/18

僕の車



男なら車にいれあげる時期ってあるだろ?翼をもらったような気分でね。こいつはそんな頃の話だ。

僕が初めて買った車は77年式のトレノだった。
19の夏、プールの監視員のバイトで貯めた15万円で叔父貴から譲り受けたんだ。
こいつは当時でも随分な年式落ちで、排ガス規制直後の製造だけにエンジンはボロボロ。
ハンドルやクラッチ、ブレーキ、アクセルさえも異常に重く、走らない曲がらない止まらない。
挙句のはては燃費も最悪ときて、全くとるとこが無いような車だった。

でもボロかろうが古かろうが金食い虫だろうが若造にはやっぱり2ドアが憧れさ。
銀色のボディ、ロングノーズに丸ニ灯。
なでるようにさするように固形ワックスで磨いたもんさ。
 

デビュー記念ってことで友人の車とつるんでいきなり遠出した。
季節は秋、隣県の観光地まで往復300Kmの旅だ。勿論、助手席にはキャピキャピのお姉ちゃんを乗せてね。
奴の車はおじさんが乗るようなセダン。俺のは曲がりなりにもスポーツカーだぜ!
「いいね、はるお君。恰好いいね」なんて言われてごきげんさ~。
観光地でも車をバックに写真なんか撮ったりして男女4人楽しく過ごして、さて帰ろう。
ドゥーン、イグニッション一発エンジンに火を入れて出発。
あれ? あれ、あれ、あれー?
セコにギアが入らないよー。
夕陽が迫る山奥の観光地、刺すようなおねえちゃんの視線…

トホホ…君はあっちのおじ様車で帰って下さい。
その場でミッション直すお金なんざ持ってるはずもない僕は
150Kmの道のりをローのまま一人で帰りましたとさ。
なーに気にすんなよ。
それでもいかすぜ!
俺のスポーツカー。



もちろんそんなのちっとも気にしないさ。
ミッションもすぐに直ったしね。
もちろんそれからも大事に大事に乗ってたんだけど、やっと運転に慣れた頃に
駅前のロータリーで助手席のドアをぶつけたんだ。
なんてーこった!あんなところにポールがあるなんて…
そりゃ「おお、あの子いいねえ」なんて言いながらよそ見して運転してた僕も悪いんだけどさ。

泣く泣くその足で板金屋に車をもって行ったよ。
そしたらとんでもなく高い見積りを言いやがるんだ。
しょうがないから近所の駐車場に持って行ってドアの内張りを自分でひっぺがして足で蹴り出したよ。
後にも先にも車の内装ひっぺがしたなんてのはこの時だけだな。
外の傷はリペアペイントしてコンパウンドで磨いたね。
多少のでこぼこは残ったけど、なーにこれが風格ってもんさ。
やっぱいかすぜ、
俺のスポーツカー!



大学前の道に路駐して車の中からナンパしてた。
結構そういうの日常だったし。
あれは学祭の日だったかな。
人通りも結構多かったし、学祭帰りの車で道も混んでた。
声かけては通り過ぎられるの繰り返しをやってると、車に軽いショックを感じたんだ。
ほんのちょこっとだよ、くしゃんってな程度のね。
そしたら道歩いてた連中が一斉に僕を見るんだ。
いや正確には僕でなく車のやや後方…
バックミラーを見ると…
なんか車の影に違和感…

ぐわっ!おかま掘られてる。
降りて見たらバンパーがひん曲がってテールランプのカバーが割れてた。
てめー!と思って相手の車を覗くとぶつけたのはおねえちゃんだった。
ちじこまっちゃって車の中で頭を下げてる。
怖くて降りて来れないみたいだ。
うーん、しょうがねーな。
そんじゃ直してくれればなんにも言わないよ。
1週間後、お詫びのお菓子と一緒に綺麗に板金された僕の車が帰って来た。
微妙に真っ直ぐ走らなくなった気がしたけどそれも愛嬌か。




シティバンドって知ってるかい。
トラック野郎がやってる簡易無線とか今だとスキーなんかの時に使ったりするよね。
平たく言えば高出力のトランシーバだ。
当時はこいつが大流行りでCBのアンテナ立ててるのが一種のステータスだった。
流行りものに目がない僕は御多分に漏れず仲間とチームを組んでCBで遊んでたよ。
「チェックー、QRですかー?再度チェック。管なき模様にてお借りいたしますー」ってな感じでね。

ある晩、街を転がしてて港に着くと狭っくるしい物影に一台のクラウンが止まってた。
で、これがどう見ても怪しい揺れかたをしてるわけ。
オモシロ過ぎるんでCBで連絡を取ると4台ほどにつながったんだ。
みな暇だったんだろうねー、揃いも揃って港にやって来たわけよ。
倉庫の裏に車を止めてこっそり怪しい車に近づいて…
せーので中を覗いた。
でもシールドが張ってあって全然見えないの。
そしたらドアがバーンと開いて
「なんじゃわりゃー!」ってパンチのおじ様が飛び出てきたw

ぎゃー!って笑いながら走って逃げて、それぞれが車に飛びのって街に向かってたんだけど、
港の出口でパンチのおじ様の車に追い着かれちゃった。
とんでもねー勢いで飛ばして来てたもんなあ、おっさん。
こえー、俺あっち行くからお前あっち行け!って互いに指示出し合って逃げる、逃げる。
「今誰が追いかけられてんのー」とか「893号、只今本町爆走中」とか実況付きのカーチェイス。
CBは届く範囲が狭いから誰にもつながらなくなると寂しくてねー。
あえてこっちから近づいてみたりして。
最終的にみな逃げ切ったんだけどさ。
今でもあんな面白いことはなかったって話すことあるよ。




あれは確か冬だったなあ。
車でナンパした子と夜の山に行ったんだ。
家に連れ込むには遠かったしホテルに行くお金も持ってなかったから、
正直なところ山でカーセックスに持ち込めば良いやってな考え。
いやー恥ずかしいくらいに若かったね。
その山の頂上に展望台があることは知ってたんだけど、
坂の途中で夜景が充分に綺麗に見える駐車場を見つけたんだ。
車の通りも少ないしここで良いかなと、駐車場に車を入れギアをニュートラルに戻して
サイドブレーキを引いた。
夜景を見ながら雰囲気を作るなんてお手のものさ。

そして僕は目的の態勢に持ち込む。
助手席のシートを倒して彼女のパンティを剥ぎ取り、大事なところに指を這わせた。
彼女から吐息が漏れる。
今ならカーセックスでクンニなんてしないだろうけど、若い時はやっぱ勢いがあったんだなあ。
僕は助手席の狭い足元に入り込み、彼女のスカートを捲り上げて足を高だかと広げた。
とその時、車がゆれ始めた。
何だか分からないがこれは危ない!
僕は助手席に横たわる彼女を守るべく即座に覆い被さった。
彼女は恐怖に引き攣り何かをうわ言を言っているが、大丈夫!
「きっと地震だよ」と彼女を優しく抱きしめた。
だが、その途端に僕の耳にグシャという音が飛び込んで来る。
あの揺れも収まった。
一体なんなんだ?と顔を上げフロントに振り向くと、
僕らの息で曇ったガラスの向こう側に
真っ白なガードレールが一本、スーっと伸びていた…

平らだと思ってた駐車場は実は緩やかな傾斜を持っていたんだ。
そして僕が勢いよく彼女の足を開いた瞬間…腿がサイドブレーキにあたって落ちてしまったってわけ。
「あたしブレーキ、ブレーキって言ったのに」
彼女が申し訳なさそうに言った。
自慢の丸目が一つ潰れて修理代が30万さ。
こいつは親から借りたけど言い訳が苦しかったよなあ。
まあ今思うと死ななくて良かったよ。
ガードレールさまさまだね。




こいつに乗ってる間に一時期年上の女性と付き合ってたことがあるんだ。
これが美人でスタイルもグー。
はじめは性格も良いなと思って付き合い始めたんだけど、
その内にかなり嫉妬深いタイプだってことが分かってきた。
この頃の僕ときたらなんでもかんでも手を出すし一人に縛られるってのが兎に角苦手だった。
それでもうこの人とは終わりだなあなんて考えてた。
そんな僕らにとって非常に険悪な時期、夜中に彼女がやって来た。
僕はその日、別の子を部屋に連れ込んでたもんで
「居るんでしょ!」ドンドン!なんてドアをノックされても開けられる訳ないよね。
ドアのノックはしばらく続いたんだけど放っておいたら彼女は帰って行った。
「いやー怖かったねー」なんて言って別の子はあっさり頂いちゃったんだけど、
翌朝その子を送ろうと階段を降り行くと、
なんか僕の車が朝陽にきらめいてるわけさ。

なんだよー俺の車は朝露にきらめくってかー!
って近づいて行くとなんだか様子がおかしい。
実はきらめいてたのは粒上のガラスだった。
前に回ると『げーっ!』フロントガラスにポッカリ穴があいてる。
そこからボンネット上にギーッと擦り傷が付いて、車の前には…
ブロックが落ちてた。
「あ!?あいつか」確証はないがすぐにピーンと来たさ。
いくらなんでもブロック投げつけるのはヤリ過ぎだろうよ。
別の子には電車で帰ってもらい僕は警察を呼んだ。
やってきた警官はおざなりな検証をしてから「なんか盗られたものないですか」と聞いて来た。
何も盗られたものはなかった。
ふーんというような間の後「なんか恨まれるようなことある?」と聞かれた。
「ありません」苦しいところだが確証もないし彼女のことは言えねー。
そしたら「あそう、一応預かるけどね。多分犯人見つからないよー」って言われたさ。
何も盗られてないとレンガの指紋なんかとってくれないんだ。
その時、警察は万能じゃないって思ったね。

そんなあてにならない警官が帰ってから、即座に"馴染みの"工場のおっさんに電話を入れた。
取りあえず直さなきゃしようがないもの。
「はるおちゃんさ、レッカー出すと高いよー」
「でもフロント見えないから走れないっすよ」
「あーそれね。スパナかなんかで内側から全部割りなよ」
「はあ?」
「工場持ってく途中って言えばフロントガラスくらい要らないから」
ものすごく大らかな人だ。
本当かよーと思いながら全部割って工場まで走ったよ。
風がバンバン入ってきてゴーカートみたいなの。
割り残しのガラスの粒が顔にぽちぽち当たってね。
こいつはすげー経験だった。
修理代は15万くらいだったかな。
女性と別れる為の代金としては今のところ最高額だ…




あっちで擦りこっちでぶつかり、殆どつぎはぎだらけの僕の車。
他人から見ればアホかという様な車だけど、僕には愛着があったんだ。
見た目があんまりひどいんで親から車を買い替えるか?って話もあったんだけど、
僕は何度か車検を通して結局大学生活の殆どをこいつと一緒に過ごした。
でも別れってのはあっけなくやってくるもんさ。

僕は就職の時にこいつを実家に置いて地方都市に出たんだ。
当面の安月給じゃ駐車場代やらガソリン代ももったいないし、
一応都市って名が付くんだから交通機関は機能してるだろうって考えたから。
必要なら夏にでも取りに帰れば良いやってな感じ。
そしてやっぱり車は要るなあと考え始めた6月頭、一本の電話がかかってきた。
「はるお、俺の車の下取りにお前のボロ出したぞ。要るんならそっちで買えよ。」
親父からだった…
ボロか。俺以外の人の目にゃそうとしか映んないよなあ。
はっはっはー、さよならの感傷に浸る間もないとは。
あっけなさ過ぎて言葉もねーや。




・・・僕が初めて買った車は77年式のおんぼろトレノだった。
19の夏にバイトで貯めた15万円で叔父貴から譲り受けたんだ。
銀色のボディ、ロングノーズに丸ニ灯。
そりゃもう嬉しくてさ、なでるようにさするように語りかけながら磨いたよ。

ピッカピカに仕上げて夕陽に映えるリフトバック。
本当に素敵な車だった…
 
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コメント

非公開コメント

これ好きかも♪

おー!
初めて手に入れた車って
特別な思い入れが
あるんですよねー。

何か新鮮でいいですね(≧∀≦)
はるおさん、これからも
頑張ってください!!

羊さん
あんがとー
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