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2014/08/12

俺が死ねば保険金入るな。女房喜ぶかな。



隣の車両に移り空いた席を見つけると
玉田は崩れるように座り込み頭を抱えた。
背中に大量の汗が噴き出していた。息も苦しい。

俺はもう本当にキチガイだ。
生きてる価値もない。

目をつぶり呼吸を整えようとしたが無理だった。
圧倒的な鬱が玉田を襲ってきた。

俺が何をしたっていうんだ。
家族は逃げちまった。
親も兄弟もいない。
同僚もいない。
誰か助けてくれ。
俺は一人ぽっちだ。

頭の中で悪い妄想だけが延々ループした。

もう死ぬか。
どうせ肺ガンだしな。

俺が死ねば保険金入るな。
女房喜ぶかな。

長い長い圧倒的な鬱の暗闇の中で
自殺を考えた瞬間になぜかそれまでの息苦しさが収まった。
ずっとずっと悶々として暮らしてきた玉田の頭の中に
半年振りくらいに由紀子と子供達の笑顔が浮かんだのだ。

うん。明日は土曜日だし千葉の海で死のう。
あいつらにできるだけお金は残してやらないとな。
でも、最後に美味しいものくらい食べたいな。
そのくらい許されるかな。
寿司か。
昼間からビールでステーキもいいな。

玉田は素晴らしく正しい選択をしたような気がして久々に愉快な気分になった。
俺はもう明日逝くことに決めたのだ。ピクニックのようなものだ。
実に愉快なんだ。こんなに楽しいのは本当に久しぶりだ。
一つ一つ丁寧に言葉を選んで妻の由紀子にメールをした。
だが由紀子からの返事は無かった。



翌早朝。

玉田は警察官の訪問で叩き起こされた。
若い警官に続いて由紀子が部屋に飛び込んできた。
「あんた。なにしてんのよー。」
由紀子は泣いていた。

その由紀子の顔を見た瞬間に
「さびじぃよぉ。。。」
玉田は泣き崩れたのであった。
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