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2005/10/12

Dark Side #1



テレクラには結構こういう人いるんですわ。
いやホント人間模様ですねえ。

 

知子と別れてからの僕は荒れた。
これまで来るものは拒まず程度のスタンスをキープしていたはずが、
イケイケドンドン自ら火中に"クリ"を拾うようになった。
そして、本来は巡り会う筈もないものにまで手をつけるようになる。
そう、テレコミの暗黒面に突入していくわけだ。

その頃はNTTの規制が入ったQ2はとっくに廃れ、
テレクラのカードを購入して家から電話をするというスタイルが主流になっていた。
これはそんな頃の話…


頼子とは土曜の夕方につながった。
他愛の無い話を20分もしただろうか、
このまま話すならいっそ会って話しをしようと僕から誘った。
ついでに夕飯も一緒にどうだと持ちかけたと思う。
彼女はそれを承諾し、僕のマンションから車でわずかな距離の電話BOXを指定してきた。
その距離なら仮にスッポカシを食ったとしても、僕にはさして痛くない。
馴染みの店で食事してまた家に帰ってくれば良いことだ。

電話で互いの特徴を交換した後、僕は家を出た。
声の感じからは恐らく太っていない、せっかちそうな子だった。
果たして……彼女は指定の電話BOXにいた。
電話で交わした特徴も間違っていないので、あの子がそうだろう。
僕の予想通り頼子は細い女性だった。
しかしあまりにも細過ぎる。
顔も骸骨に皮がやっとのことで乗っかっているような、
薄幸そうな感じの女性だった。

僕は考えた。
このまま黙って通り過ぎようか。
でも、彼女をこのまま待たせるのも可愛そうに思えた。
うん、なんであれ約束したからには食事くらい一緒にとることにしよう。
DARK SIDEに回っても、フェミニズムは完全に払拭出来ない僕だった。

僕は電話BOXの横に車を滑り込ませ、早く乗る様、手招きをした。



頼子と歩いているところを知人に見られたくなかった僕は、隣街の繁華街に車を向けた。
少しだけ雰囲気があって、安い食事のとれる店を知っていたからだ。
店に着き対面に座る。
適当に注文を済ませ、改めて頼子を見るとやはり極細な女性だった。
セクシーさを強調するためか、胸元の開いたブラウスを着ていたが、
鎖骨がくっきりと浮きあがって見え、それが返って哀れだった。
ただ、電話での饒舌とは打って変わって頼子は無口だった。
それでも食事をとるうちにぽつり、ぽつりと身の上話を始めた。
話を要約するとこんな感じだ。

電話で言った年は嘘で、年齢は30を大きく超えている。
九州で一度結婚をしたが、旦那の暴力が酷くて家から逃げ出した。
今は無事に別れることが出来たけど、あの時は本当に地獄だった。
その後、親元に戻ったが歓迎されず、流れ流れてここまで来た。
住み込みで働けるところを見つけて、働き始めて今が2年目。
幸の薄そうな陰は、見た目だけではなかったようだ。



食事を半分済ませた頃に、頼子はお酒を飲んでもいいかと尋ねた。
お酒を飲んだ頼子は上機嫌になり途端に声が大きくなった。
自分の今の生活を誰かに話したくてたまらない、
次から次に言葉が涌き出る、
そんな感じだった。

彼女は会話の間を嫌うかのように兎に角何でも話し続けた。
「あたし寂しいけど彼氏が出来ないのよ。
 だからSEXしたくてしょうがなくなった時はテレクラに電話するの。
 幾らでも会おうって言ってくれる人居るし。
 良い気持ちになれるから。
 前に会った人はね、会ってみたらなんにも喋らないの。
 それでも車はドンドン山奥に入って行くし、
 暗い所に止まったと思ったら急に抱きつこうとするのよ。
 あたしは始めからさせてあげるつもりだったのに、
 乱暴にあそこを触ろうとするからストッキングが破れてね 云々…」

別に聞いてる分には構わなかったが、なにしろ声が大き過ぎた。
頼子の後ろの席の人もチラチラと降りかえっているし、
回りの席から密かな注目を受けているのは間違い無い。
「よーし、分かった、分かった。出よう」
そう言って僕は伝票を掴み、
椅子を蹴って立ち上がった。



車に乗り込み僕は言った「じゃあ、帰ろうか」
頼子は充血した目をかっと見開き、そしてヒステリックに叫んだ。
「あたしに恥かかせるの!」突拍子も無く甲高い声だった。
どうやら酔っ払っているわけではなく頼子は少し精神を病んでいるようだった。
無視して発進しようとしたが、運転中のハンドルを握りそうな仕草を見せたので、
慌てて僕は車を止めた。

それからまた延々と頼子の一人舞台を見る羽目になる。
5分を過ぎた所で僕は思った。
えーい、もうどうにでもなれ!
「分かった、ホテルに行こう」僕は言った。

ベッドに横たわる裸の女性を目の前にして、
SEXしたくないと思ったのは恐らく初めてのことだったと思う。
風呂からあがった僕は彼女から少し離れて横になり、
後は彼女のするがままに任せた。

しかし悲しいかな男としてはちゃんと機能するのだった。
充分に自己満足なSEXを堪能した彼女は、
「ホテル代は半分こね」と言った。
その日はそれだけが救いだった…

 

救いなんだろうか?

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