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2015/08/19

やましい気持ちもなく、浩介が上原の鍵を覗き込むと部屋の番号は続き番号だった



岡山駅まで歩いて10分足らずの居酒屋で開かれた打ち上げでは、国広部長は終始ご機嫌であった。
津田君のプレゼンは本当に良いプレゼンだったと浩介を褒め、自分が行う明日の広島の説明もきっと上手くいくだろうと大いに酒をあおった。
浩介はそれほどお酒が飲めるほうではなかったが、褒められるとやはり嬉しく、いつもよりは飲みすぎてしまったようだ。
広島からやってきた営業の男は、太鼓持ちのように国広を持ち上げ、居酒屋の飲み放題の時間が終了すると二人して夜の街に消えていった。
上原が支払いを終え、領収を取って表に出ると、残っているのは浩介だけだった。

部長と鈴木さんは?
行っちゃいました。
あーやっぱりね。
追いかけますか?
津田君は?
いやー。もうお酒は良いかなって。
うん。あたしも。ホテルはこっちね。歩きましょう。

さほど長くない岡山の飲み屋の通りを二人して歩いた。
散々居酒屋で話したので、浩介には特段の話題も浮かばない。
上原も無言だった。
上原は大きな通りにぶつかると、スマホを取り出しホテル名をつぶやいた。
たぶん、GoogleMapかなにかで方向を確かめているのだろう。
スマホを手に左右に体を振った後に、上原は右に狙いをつけて歩き始めた。

どうですか、そっちのプロジェクトは。

浩介は何か話題を見つけようと上原に話を振った。

あーそう言えば津田君、流石だったね。部長も褒めてたけど。
あ、ありがとうございます。
うちのはねー。もうちょっと部長と詰めたいんだけど。ほら。
ああ。部長はあの調子ですからねえ(笑)
そうなの。今回は聞き取りで終わりそう。
ああ、そっか。それでこっちのを絡めて出張にしたのか。
津田君もそう思う?
まあ、そうっすね。
あ、あれ。あそこのホテルだわ。
ちかっ!
うん。駅に近いほうが便利かと思ってね。

会話も成立しないまま、今日泊まるホテルにたどり着いた。
2階のロビーに入り、浩介は上原と並んでチェックインを済ませた。
上原が残りの2人は遅れてチェックインすることを説明している間に、浩介はホテルの中を見ていたが、割と綺麗なホテルだった。

416か。浩介はエレベータに乗って4階のボタンを押した。
先輩、何階ですか。
私も4階よ。

別にいやらしい気持ちもなく浩介が上原の鍵を覗き込むと部屋の番号は続き番だった。
会社等で申し込むとホテル側が気を利かせて隣部屋同士にしてくれるのはよくあることだ。

禁煙・喫煙で分かれてるみたいね。
へえー。そうなんですね。

すると部長と、えーっとあの人。鈴木さんだっけな。あの二人は別の階に泊まるんだなあ。となんとなく浩介は思った。
ほどなくエレベータは4階に止まり、部屋番号を確かめつつ二人はそれぞれの部屋の前に着いた。

それじゃあ、先輩。おやすみなさい。
あ、明日は私たち8時には出るから。
僕ら10時の電車なんでゆっくりです。
そう。頑張って。
はい。先輩も。
おやすみなさい。
おやすみなさい。

鍵を回して、それぞれがそれぞれの部屋に消えていった。
これで終われば、なんということもなかったのだ。
そうこれで終われば・・・
 
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