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2016/10/26

「線虫」医師の見立ての回(3)羽月教授の突撃



翌朝8時30分、江波は自身の勤め先である東京先進医療センター病院の執務室に到着した。既に脳神経外科医としての一線は退き、研究と論文発表に明け暮れる江波の朝は比較的のんびりしたものだ。
インターンとして面倒を見ている木谷美和子もまだ来ていないようなので、江波はスーツをロッカーに預けると自分でコーヒーを入れ、PCの電源を立ち上げた。
さて、気は重いが、昨日の新谷の件だけは片づけることにしようと腕まくりをしているとき、けたたましいノックの音が部屋に響いた。
こんな早朝からの来客は珍しい。江波はいぶかしがりながらもどうぞーと声をかけると、なんと泌尿器科の長老、羽月教授が飛び込んできた。羽月教授がわざわざ江波の部屋を訪れるなど、初めてのことだ。

羽月先生。おはようございます。
おはようございます。江波先生、あの画像はなんですか。

羽月教授の突然の剣幕に江波は恐縮した。いくら飯田先生と良好な関係だからといって、越境して泌尿器科に画像診断をお願いしたのは失敗だったか。羽月教授にせよ飯田先生にせよ、もちろん自分もだが、研究テーマでいっぱいいっぱいだ。そんなところに己の理由で画像診断をお願いしてよいはずもない。羽月教授の怒りは受け入れるしかあるまい。

申し訳ありません。飯田先生もお忙し・・
飯田は良いんです。あの画像がなんなのかを知りたいのです。

どうにも羽月教授のこの勢いは、自分が感じた怒りの方向ではないらしい。それはつまりどういうことなのだ? 江波は突然の羽月教授の来訪の意味が分からなくなった。

えっと。どういったことでしょう。
あ、江波先生はまだあのMRIをご覧になってない?
飯田先生にお願いした下半身のものですか?
そうです。あれです。
見ておりません。専門外ですので先生方のご意見をおき・
分かりました。これは見なきゃ始まらない。あ、ちょっと待ってくださいね。

羽月教授は自分の携帯を取り出し、電話をかけ始めた。会話の内容から察するに循環器内科の西村先生を呼びつけているようだ。いったい何が始まるんだ。江波はただ羽月教授のふるまいを見ていることしかできなかった。

羽月教授の電話の最中に木谷美和子が執務室のドアを開けて入ってきた。ものすごい勢いで会話をしている羽月教授と正面から目が合い、一瞬おののくが、軽く会釈をするとまるで何もなかったかのように木谷は自分の机についた。現代っ子というかなんというか。ノックして入ってこいと何度も言ってるのだが、あの娘の癖は治らんな。
そうこうする内に電話が終わった。羽月教授は再び江波の方を向くと声高らかに宣言をした。

江波先生、9時から臨時のカンファレンスを開きます。私だけでは心もとないので循環器内科の西村先生も呼びました。もちろん飯田も来ます。大体の状況は今朝、MRIの三島君から聞いていますが、今回の件は君が当事者です。色々と教えてください。あと、君がお金を払っているらしいじゃないですか。そこは後で建て替えてもいい。なので君名義で院内の集められる情報は全て集めておいてください。カンファレンスは第2会議室を取りました。9時です。いいですね。

と宣言したところで、羽月教授はやっと木谷を気にしたようだ。

えっと、ところであの娘は?

もしかしたら新谷の下半身のMRIに、何か金の生る木でも見つけたのだろうか。どうも羽月教授は関係者だけで秘密裏にことを進めたいようだと、江波は気が付いた。

彼女はインターンの木谷君です。例の患者に昨日ずっと付いていました。
そうですか。なるほど。木谷さん。
はい。
あなたもカンファレンスに参加しなさい。色々と教えてもらいますよ。

これまで興奮気味だった羽月教授が、ここでやっと笑った。
 
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