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2016/10/19

「線虫」医師の見立ての回(10)臨時カンファレンス



木谷君、それだ。僕は江波先生の話を聞いてて、あ、勃起が止まらないとか立つ女と立たない女がいるとかって話のことですけど、この虫たちが生きていくには、いずれこの患者の体だけでは足らなくなることを考えたんです。だとすると水辺じゃないですけど、女性に移って、そこからまた男性へと移っていかないといけないはずです。
そうだ。ああ、そういうことか。

羽月教授も閃いたようだ。

そうです。もしかしたらこの虫は女性の中でも生きてけるのかもしれないですけれど、いずれにしても寄生虫ですから、次々に宿主を変えないといけない。それで、勃起について考えてみたんですが、多分、虫は何かの信号を受けて女性を見たときに、前立腺に噛みついてるとか、刺激を与えているんじゃないかと。少なくとも成虫は前立腺に取り付いています。
物理的な刺激による反射性勃起だな。一気に立ってすぐにしぼむ。PSAはそのせいか。ありそうな話だ。
もう一つ、中枢性勃起もコントロールしているかもしれません。これは本当に仮説ですが、江波先生が言うようにこの患者が麻薬などに手を出す人じゃないとすれば、線虫がセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどを合成してると考えたらどうでしょう。カマキリを水辺に誘い・・
あり得ない!

江波はとうとう口を挟んだ。

少し冷静になりましょう、西村先生。虫風情にそんな合成ができるわけがないでしょう。
江波先生、僕は可能性の話をしているんです。メスカリンを生成するサボテンだってあります。ベニテングダケもマジックマッシュルームだってある。
あれは植物だ!
困ったなあ。そうだ。飯田先生。果糖の構造式は?
ちょっと待ってくださいね。えーっと精嚢の中の果糖のことならフルクトースですからC6H12O6です。
セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンの構造式は?
えーっと、待ってくださいよ。C10H12N2O、C8H11NO3、C8H11NO2ですね。
チッソが足りないじゃないですか。
Nなんかどこからでも持ってこれますよ。膀胱も近いですし、精子の食べカスから生まれてるかもしれない。やつらが何をかじってるかは分かりませんから。
それにしても構造が複雑すぎるでしょう。
人間も生成できるものですけどねえ。では、アンフェタミン、メタンフェタミンならどうです? 飯田先生。
はいはい。C9H13N、C10H15N。確かに構造はかなり簡単になりますね。
仮説。ね、江波先生。これはあくまで仮説なんです。この虫たちは生きるために何かを食べ、それと知らずに麻薬を生み出す。次に寄生ができる相手、この場合は女性になると思いますけど、を見つけると、成虫が前立腺に噛みつき反射勃起を促すとともに、そこから様々な薬物を体に流し込むことで宿主の脳を活性化させ中枢性勃起すら促す。それでうまく交配できた時には、次の寄生先に卵と幼虫を流し込むってわけです。こう考えるとつながりませんか。

江波はほとほと疲れていた。

そう言えば一酸化窒素が勃起に関与してるって聞いたことがありまーす。
木谷さん、それ正解です。勃起するときには一酸化窒素の放出で海綿体内の筋肉を緩めて血管の拡張をしてるんですよ。
なるほど、合成の結果、あまった一酸化窒素を利用してる可能性もあるなあ。

江波の目の前を空論が流れていく。どうにも頭に入ってこない。さっきから新谷の携帯を鳴らしているのだが、そのコールは「おかけになった電話は電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないためかかりません」を繰り返すばかりだった。
 
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