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2016/10/17

「線虫」最終章 産卵の回(2)



セナがいるという円山のホテルは組の息がかかっている。まあ、言ってみれば売春御用達の宿というところだ。
龍男は駐車場の空いているスペースに車を止めると、ロビーには向かわずに、直接ホテルの事務室を訪ねた。
駐車場とは反対側の奥まった位置にある事務室出入り口の呼び鈴を押すと、しばらく経って返事があった。

はい。
〇〇の金本と言いますが。
開けます。お待ちください。

ドアを開けてくれたのは初老の男だった。見覚えのある顔だ。龍男は招き入れられるままに狭い事務所に入った。

爺さん。あんたか。201でトラブルだ。
あまり面倒ごとは・・
鍵を開けてくれ。

龍男は財布から1万円札を引っこ抜いて机に投げ、爺さんを慇懃にねめつけた。爺さんはあきらめたようにくたびれた椅子に座ると、くるりと回って機械をいじりはじめた。その爺さんの後ろ姿に声をかける。

ここ、録画は?
ロビーだけだよ。
そこの階段から上がれば大丈夫だったかな。
そうだね。

爺さんが振り返るのも待たずに龍男は清掃用の通路に通じるドアを開け、階段を駆け上がった。ラッキーだったな。非常用のずいぶん急な階段で、龍男はトラブルが2階で良かったと思った。
2階の非常用扉を開け、隙間から廊下に顔を出すと、これまたラッキーなことに目の前が201号室だった。一歩進み出てドアの取っ手に手をかけると、取っ手は簡単に下がった。爺さんは無事、自分の仕事をやってくれたようだ。

遠隔オートロックの重いドアを慎重に引き、龍男は音を立てないようにゆっくりと閉めた。さして段差のないエントランスには男物の皮靴が転がり、その横に女のヒールが揃えて置いてある。

(まだ居やがる。)

中がどうなっているか分からない。龍男は部屋に続く曇りガラスのドア扉を開ける前に、耳を澄ませた。
TVと不規則なしゃっくりか何かの音が聞こえるだけで、特段、男が暴れている様子はない。恫喝するような大声も聞こえてこない。
よっしゃ!いくぜ!セナ! 龍男はいよいよ意を決した。
部屋へと通じる薄いドアの取っ手に手をかけると、一気に引いた。靴を履いたまま部屋の中に躍り込む。

たっちゃん!
 
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