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2017/03/18

パンチラを覗く男




 ねえ。
 ねえ、ちょっと。
 あなたさっき覗いてたでしょ。
 それほど責めるような響きのない声に”僕”は振り返る。
 はっきりしない風景の中、目の端に女のピンクのコートを捕えると
 僕の心臓は、一瞬、ぎゅっとつかまれたように痛くなり
 膝下から足の指の先にかけて血管がぞわぞわして
 僕は立っていられなくなる。
 ああ、もうダメだ。
 足元から滑り落ちていくような感触。。。

5月の東西線の一車両。
杉本好美は体をビクッと震わせながら浅い眠りから目覚めた。
連日の模擬試験の疲れから、電車の中で眠ってしまったようだ。
好美はたった今見ていた重苦しい夢を振り払うように、浅く腰かけていた態勢を立て直し、目を上げて車内を見回した。
この日の東西線は週末であるにもかかわらずそれほど混んでいるわけでもなく、ベンチシートにところどころに空きがある状態だった。
暗い窓の向こうに白い蛍光灯の帯が走るところを見るとまだ東西線は地上にも出ていないようだ。

(ふう。夢だったか。)

視線を彷徨わせていると、正面のシートに座ったOLの斜めにそろえられた足に目が行った。
ちらと顔に目をやると、髪の長い美人な人だ。
そのOLが寝ているのかは分からないが、イヤホンを耳に目をつむって音楽に聞き入っている風に見えた。
深く腰かけたOLのタイトスカートは膝のごくわずか上まで引っ張りあげられており、ピンと張ったスカートの裾が目に眩しい。
車内の明かりは上からなので、当然、そのOLの膝の奥にある暗闇までを照らすことはないが、20歳の好美はそこから目を離せないでいた。
ふいにOLが目を開けたような気がして、好美は慌てて目線を外した。
色白の好美の頬が少し染まった。

(いけない。今の動きは自然にできただろうか。)

好美はさりげない振りをして、まだジンジンとする自分の腿を軽くさすると目を瞑り、この数か月の出来事について思い返し始めた。
 
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