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2008/03/16

諏訪湖のほとり-番外編-回想

 
恵子が入ってからそれ程時間が経っていないのであろう風呂の湯はまだ温かかったが、俊介はさらに高温の差し湯をしながら湯船に浸かった。湯船の中で体を伸ばすと、雪に冷えた関節がジンジンとし、生き返るような感じだった。
それなりのマンションに、安定した仕事、優しい妻、温かいお風呂。俊介は程よい人生に満足だった。ゆっくりと湯船に浸かりながら、恵子との出会いを振り返る。

俊介と恵子の出会いは東京での大学時代だった。高校でテニスをしていた俊介は、大学ではテニス同好会に入った。同級生ながら2年になって遅れて同好会に入ってきたのが恵子だった。スタイルもよく、利発そうで、それでいて人懐こい笑顔の恵子に、俊介は見た瞬間に惹かれた。猛アタックの末、晴れて付き合うことができたときには、感激もひとしおだった。周りにも美男美女のカップルと囃し立てられ、卒業してからも3年付き合い、プロポーズ、結婚して今に到る。

(結婚式の時は本社のみんなも、同級生も祝福してくれたなあ・・・)

そのときのことを思い出すと、俊介の顔には自然に笑みが浮かんだ。長野の支店に変わって3年経つが、未だに東京本社の連中とは連絡を取り合う程の仲である。

(でも長野に来てからだな・・・)

俊介の顔が曇った。

俊介と恵子は早い結婚ということもあり、東京時代は二人とも働いていた。俊介の長野転勤に伴い恵子はそれまで働いていた銀行を辞め、俊介について長野にやってきた。年齢的にもちょうど良いしそろそろ子供をと二人で話し合ったのだが、なかなか子供に恵まれず、不妊治療が必要かと病院に行った時に、それは起きた。恵子の血液検査で、ある抗体が極微量だが見つかったのだ。

更に詳細な検査で極微量ではあるがウイルスも検出された。医者の説明によれば、性接触による感染はないとのことで、事実、俊介からは抗体もウイルスも検出されなかった。さらに薬の投与により恵子の完治は可能であり、最初に2週間程度の入院をすれば、後は通院で大丈夫とのこと。ただし薬の副作用として鬱状態になることもあり得るということだった。

恵子を失うわけにはいかない。俊介は心からそう思った。二人でじっくりと話し合い、恵子は入院することになった。俊介は昼間は働きつつ、会社に無理を言って時間をもらっては恵子の世話へと病院に通った。2週間の入院を経て恵子は無事退院をしたが、医者が言ったとおり、薬の副作用としてそれ以来やや塞ぎ込みがちになり、それと同時にやつれてしまった。

今は回復し塞ぎこむこともなくなったが、年相応にやつれてしまった感は否めない。それでも最愛の妻である。きょうこと浮気はしていても、俊介の心の中には妻への想いがあった。
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