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2017/05/05

新卒女子、いざマッチングサイトへ



マッチングサイトに関する社内コンペの指示を受けた日の夜、真由子は自宅マンションのパソコンの前に座っていた。
パソコンの画面には業界No.3と言われるマッチングサイトの登録画面が映っている。
指示を受けた顧客は業界No.2なのだが、いきなり本顧客のサイトに登録する勇気は真由子にはなかった。
そこで業界No.3サイトを攻略し、次にNo.2を攻め、最後にNo.1を攻めることで、各々の差を明確にする戦略に出たわけである。
自分自身が明確なペルソナを決定できない、もしくはそのペルソナの動態を認識できない以上、まずはシステマチックな部分の差を比較し、改良点がないかを見るしかないと考えたのだ。

この時の真由子には知る由もないが、大手マッチングサイトのシステマチックな部分に関しては実は大した差はなく、精々サイトのデザインが各々で異なる程度のものだ。
それは、同じ法令に縛られた非常に狭い世界で丁々発止と戦っているからであって、大手になればなるほどそのシステムは似通ったものになる。
では大手と弱小の違いはといえば、実店舗があるかどうか、男女に限らず身元の確認をしっかりと行っているかどうか、そして広告宣伝費を大きく使えるかどうかぐらいのものだ。
広告宣伝費を大きく使えない弱小、特にマッチングサイトと呼ばれる部類から出会い系サイトと呼ばれる部類のサイトに落ちていくにしたがって、宣伝費分のお金はサクラの給料へと変わっていく。
出会いを謳うサイトでは、多額のお金を払ってくれる男性会員を集めるために男女比率を公開していることが多いが、そこでは少なくとも50%の女性会員が必要で、また女性会員が50%もいるとすれば男性会員を継続課金させるためにサクラが必要となってくるのである。

マッチングサイトの業界No.1、No.2はお見合い業・ブライダル業から出発したサイトであり、実店舗があることやこれまでの成約実績から利用者に安心感を生んでいる。
つまり浮気願望を持った既婚者が入る余地のない運営、またサクラを雇わない健全な運営を行っている点が好感を呼んでいると言える。
しかしNo.3ともなれば玉石混交で、通信大手が余禄で作ったものやそれこそ個人ユーザが作ったものまで現れる。
知識に乏しい真由子は、ネットでの検索から、ユーザ数の多さと大手企業が運営しているからという理由でNo.3を選んでしまった。
これが失敗である。
しかし、失敗の話はこれから。

真由子は律儀にパソコンの前にノートを置き、逐一記録を取りながらサイトへの登録作業を進めていった。

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2017/05/04

新卒、堅物女子への無理難題



居酒屋では矢田部昭光と西野裕子が目の前でおどけていた。
真由子の愚痴は一通り聞き終わったと判断したのか、まるでカップルかのように二人の会話に夢中になっている。

まいっか。

二人は二人だ。真由子の愚痴にだけ付き合ってくれとは言えない。
真由子は、目の前にでんと置かれたビールジョッキに残る泡を見つめながら、今回の案件のリサーチ方法について思い出し始めた。
そもそも今回の案件「業界No.2のマッチングサイトをNo.1にするための方策を考えよ」とのお題は2か月前に提示されていたのだった。
そしてそれはマーケティングを学んだ真由子からすると、なんともアバウトな指示だった。


はあ、まったく嫌になっちゃう。
今でも3件、案件抱えてるのに、マッチングサイト向けの社内コンペとか。
いくら業界2位のお客さんだからって、1年目のあたしにまでコンペ振ってくるかね。
何が「時間はたっぷりある」よ。正直、ないよ。こっちはいっぱいいっぱいです。
まったく。言うだけの側は気楽なもんよね。
それになーに?
この資料。
顧客の売り上げの推移とか会社の業務説明が書かれてるだけで、ペルソナも決まってないじゃない。
そこから自分で決めろってか?
マッチングサイトって多分、出会い系だろうから、うーん、今なら30代男性?
それとも焦りだした20代後半のおばさん。いや失礼。婚活女子?
うわーこんな発想じゃあチープだなあ。
てか、ペルソナも統一してないんじゃ社内コンペなんか成り立たなくない?
誰が決めたのか知らないけど、評価できないでしょう?マジで。
馬鹿上司だなあ。本当に。
あーあー。
学生の時はもうちょっと有意義な議論とかできたんだけどなあ。
本当に嫌になっちゃう。
っていうか、、、あたし、マッチングサイトとか実態を知らないし。
うーん、ざっくりと業界の動態なんかをネットで調べたら、まずは実体験から行くしかないか。
どうにかなるのかなあ。

これが最初に指示を受けたときの真由子の感想だった。
社内コンペともなれば、周りはみなライバルだ。
皆はどんな顧客イメージを持ってマーケティング戦略を練ってくるのか。
上司から的確な指示をもらうこともできず、マッチングサイトという存在自体に触れたことのない真由子は、配られた資料に目を通しながら途方に暮れた。

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2017/05/01

新卒女子、大学時代の恋愛事情(2)



裕也は地方からのお上りさんで、後から知ったが地元では伝統のある結構大きな企業の御曹司ということだった。
裕也はしかし威張ったところがなく気さくで、何気に身なりも良く、普段はぼーっとしながらも洗練された優しさや気づかいのできる男だった。
日頃、ゼミで激論を交わすようなガツガツ系の男たちとも、インターカレッジ系のサークルに巣くうオラオラ系の男たちとも違い、何かふんわりと本物を感じさせる男だった。真由子が気に入ったのはそこである。

実際、彼の父親が上京してきたときにはエスコートしてくれ、かなり豪華な食事を”お父様”にご馳走になり恐縮したのも覚えている。
裕也の父親もまた上品で、温和で、落ち着きがあり、真由子にとっては初めて成熟した上流階級の男性を見た経験だった。
中流の家庭に生まれ中高とただ勉強にいそしんできた真由子に対して、少し知らない上の世界を見せてくれる男。
それが裕也だった。

学校は学校、サークルはサークルとして、真由子の大学時代の性生活は裕也に捧げた。
まあ、捧げたと言っても大したことではない。裕也と付き合って処女を失い、それから卒業まで付き合い続けたというだけのことだ。
真由子にとっては自然な話であまりドラマもない。
裕也のセックスは割と淡白で変態じみたところはない。
したい!したい!と連絡してくることもなく、会いたいときにはむしろ真由子から連絡を取り、外で食事をして、裕也のマンションに行き、朝まで一緒に過ごす、そんな流れが定番だった。
こうした関係を付き合っているというのか微妙なところではあるが、学業に燃える真由子にとってはこのくらいの男性との距離感が気楽だった。
そして卒業を間際に控え、二人の関係は自然消滅に近い形で終わる。
そもそも裕也は父親の待つ田舎に帰ることが最初から決まっており、一方の真由子は第一志望だった新進気鋭のTHELABOにかなり早いうちから内定を得ており、4年次には自然消滅は時間の問題と真由子自身認識していたのだ。

さて、大学を卒業後、真由子は仕事一本に命をささげてきた。
もちろん、新しい彼氏などいた期間もない。
つまり、真由子は、男性と付き合った経験が圧倒的に少なく、しかもその関係が愛情に基づくものなのかどうかの感情も希薄で、かつ見合いや出会い系やマッチングサイトなどで男性を探すという経験は全くないという状況だったのだ。
そんな堅物と言っていい真由子に、見合い系とも出会い系ともとれるマッチングサイトを業界No.1にするためのアイデア社内コンペが回ってきた。
まあ、そもそもが無理難題、人選ミスと言って良いだろう。
 
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2017/04/30

新卒女子、大学時代の恋愛事情(1)



裕子に横腹をグーで殴られ、漫才のように痛がる矢田部の仕草を見ながら、真由子は自分の大学時代を思い出していた。

・・・

真由美の通った大学は、都内の有名私学だった。
元々、希望して商学部に入ったのだが、真由子はその中でもマーケティングに興味を持ち、ゼミではアドバタイジングマネジメント、いわゆる広告を学んだ。
真由子が選択したゼミの人気は高く、一般の学生にとってはそのゼミに入ること自体が難関とされていたが、1、2年の間にかなり優秀な成績を納めていた真由子はその狭き門を難なく突破することができた。
学部の優秀な学生が集まったゼミ内でも真由子は特に勤勉に勤め、また評価は極めて高く、マーケティングやブランディングの討議においても男子学生をしり目に担当教授と大いに議論を交わしたものだ。
いわゆる学業に関して、真由子は大いに大学を楽しんでいたのである。

一方、真由子には”学業だけに偏った人間になってはいけない”という思いがあった。
これは親の教えもあったのだが、大学時代の友人は一生の友になる。
なので学部以外の人間とも積極的に関わっていきたい。
そういう思いもあって1年時からサークル活動にも参加した。

そのサークルの選択はなかなか難儀なものだった。
細身で華奢な真由子は高校時代、体育が苦手だった。
男子特有の体育会系の縦のノリもいまいち馴染めなかったため、ガチな運動系は最初から避けることにした。
これは簡単だった。
ただ勧誘を断ればいいだけ。
しつこさのないさっぱりした体育会系。
これだけは体育会系を評価できることろだと今でも思ったりする。

そういえば、教養が終わり専門に上がった時に、やたらインターカレッジ系の馬鹿ノリサークルに参加している男子学生が多いことに気が付いた。
1年の勧誘のときにしつこかったのはこういう連中だ。
およそなんのためのサークルなのか分からないような横文字のチーム名。
一通り話を聞いていく内に逃げられないような囲い込みをする茶髪ロン毛のホストかと見まがうようなきっしょい男、もしくはマッチョ(笑)
こういうサークルは1年の女子たちの間でも噂になっていたし、真由子自身、やりチン坊ちゃんたちのノリには辟易していた。
自分がやりマンと見られるのも嫌だったので、こうした系統も徹底的に避けることにした。

それで結局落ち着いたのは、無難にハイキング同好会だった。
ハイキングはそれほどハードな運動でもなく、適度に健康的で、ちゃんとサークル活動もしており、山で一緒に行動するという連帯感や先輩・後輩のゆるい縦横のつながりが心地よかった。

真由子の学生時代の彼、裕也とは、そのハイキング同好会で知り合った。
 
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2017/04/26

新卒女子、自分の不甲斐なさにお道化ながら大いに凹む



だからどの部署に行ってもきついの。ね、真由ちゃん。企画だけじゃないって。
一緒じゃないよー。マジで聞いてー。
分かった。分かった。西野、まあ、聞いてやろうよ。
think big,
test small, scale fast。
社長の言葉だよな。

聞いてやろうという割に、真由子が一言喋ると後は矢田部が引き取った。それには反応せず真由子はつづけた。

そう。それ。”think big”が企画の仕事なんだけど、私の案には面白みがないってさ。”それは最初の視点を掘り下げてないからだ。お前は掘り下げもしない、広げてもいない。要は薄いんだよ。ペラッペラだ。調査不足だからリアリティがない。経験不足っていうならそれでも良いが、若者がワクワクするような夢がないってーのは、つまりお前の能力不足なわけだ。”って。ふざけんな。調査してるってーの。

今日の企画会議、各課員の社内プレゼンが終わった後に部長から直々に頂いたお言葉を、真由子は口調をまねて言ってみた。だが虚しい。真由子は自分で言った言葉に脱力し、一気にジョッキをあおると机に突っ伏した。

はあーっ。。。
それ、加賀谷部長か(笑)
真由ちゃん、妙に上手いよね。
上手くもなるよ。。。毎回言われてるんだもん。。。
今回のテーマなんだったの。
・・・婚活。
お客さんは?
・・・マッチングサイト。
で、真由ちゃんの視点っていうか、アイデアは?
・・・街コンでネットとリアルの融合。
うわー鮎川!!! お前、ビックリするくらい陳腐だなあ(笑)
矢田部くん。こら!
あーやめて。分かってんの。分かってるから傷ついてるの!

先ほどより深く真由子が机に突っ伏すと、裕子が矢田部の横腹をつついた。

あー裕子、なぐさめもやめて。余計心に刺さるから。もう。すみませーんビールおかわりー!

真由子がガバッと起きて手を上げ、思ったよりも大きな声で店員に注文をした。

でも、まあ、あれだよ。俺ら1年目だしね。そう簡単にうまくいかないよ。
そうそう。海千山千の業界人じゃないんだし。ね。
マーケティングしたんだけどなー。
マーケティング?
あ、まあそれはいいけど、センスだって。あたし、センスも自信あったんだよ。
「ネットとリアルの融合」で?(笑)
矢田部くん!

楽しそうに絡む二人の掛け合いを斜めに見ながら、真由子は大学時代の自分を思い出していた。

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2017/04/24

新卒女子、居酒屋で同期に愚痴る



矢田部さー、聞いてよ。今日のプレゼンしくったー。もう最悪。

今日の夕方、鮎川真由子は会社の同期の矢田部昭光、西野裕子と東京駅地下街の居酒屋で落ち合った。席について早々に運ばれてきたジョッキを合わせ、ビールをぐいっと半分近く空けての真由子の第一声がこれである。

はいはい。久々の同期会だし、鮎川女史の愚痴はなんでも聞きますよ。
真由ちゃん、今夜も荒れてるねー。
あーもー。これが荒れずにいられるかってーの。

あらゆる分野に手を広げる新進気鋭のIT企業。その高給と好待遇にひかれた優秀な若者が年間を通じて中途採用に応募してくる会社。それが鮎川真由子の勤めるTHELABOだ。業態の拡張に伴う昨年の新卒採用は50名強。もっともその半数は過酷な環境に耐えられず既にやめてしまっていたが。真由子、矢田部、西野はそんなハードな環境になんとか耐え、生き残ってきた新卒一年生である。

もーねー。自分の才能のなさを毎日これでもかって思い知らされるの。たまんないよ。
うちは優秀な人間多いからなあ。途中からも入ってくるし。
そうよねー。
裕子のとこは広報じゃん。事務仕事みたいなもんじゃん。
鮎川、さっそく絡み酒か(笑)
真由ちゃん、広報って言っても広いのよ。
それでー?
新設部署もどんどんできるし、人の移動も激しいし。
だからー?
同じ仕事ばっかりやってるわけじゃないの。この一年ずっと勉強よ。
んー。ごめん。矢田部君とこは? 開発ってどんな感じ。
うん。俺んとこも移動は激しいよ。普通に来なくなる奴いるしね。
えー来なくなるとかあるの?
うん。まあ、派遣さんとか外注さんとかね。あれ?昨日いたのに?みたいな。
げー。急に来なくなるってすごいね。それ。
きついからな。あ、そうだ。同期の谷沢って覚えてない?開発に配属された。
シュッとした人? 細身の、背の高い。
うん。多分、あってると思う。あいつ来なくなって、電話したら実家に帰ってたって。
うわー。
もう一か月前の話だけどね。全然、そんな風に見えなかったけどね。溜まってたんだろうなあ。

(ちぇー、そんな話を聞きたいんじゃないよ!)

だからー他の部署もそりゃ大変だと思うよ。でもね、でもね、企画はきついんだってば。
そっかー?上の人はきついだろうけど若手は割と帰れるし、むしろみんな羨ましがってるけどな。
そうよ、真由ちゃん。今の話聞いたじゃない。あれだけいた同期ももう半分になってるし。
だーかーらー。企画は求められるレベルが違うの。新人でも。
うわ!お前嫌な女になってるぞ。
だって聞いてもらうために集めたんじゃん。。。
 

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2017/04/15

新卒女子に徹底的な叱咤、君はこれに耐えられるか?




だからさ、それがお前のダメなところなんだよ。

どことなく覚えのあるコーヒーサーバのおかれた休憩室で、鮎川真由子は責められていた。真由子は毅然として男の顔を見上げるが、それは上司の宮田のようでもあり、同期の名も知らぬ男性のようでもあり、なんだかモヤっとしてハッキリしなかった。一方で怒られている内容には覚えがあった。それはいつも真由子が社内で言われている小言だった。

だからthink big, test small, scale fastなんだって。社長の言葉だぞ。
だからそれはわかっ…

言い返そうとした真由子の言葉を男が圧倒的な勢いで遮る。

大きく考えろってことだ!お前本当にわかってんのか?

強い口調で言われると真由子は言い返せなかった。重苦しい感じが胸の奥からこみあげてくる。(でも、人前で泣いちゃダメだ。女だからって言われる)真由子は誰とも分からない男から目線を外してうつむき、下唇を噛んで、この嵐が過ぎ去るのをじっと待つしかなかった。

お前の案には大きさが足りない。テストをしたりスケールをでかくするのはお前の仕事じゃない。ただ大きな案を考えること。それができてるのかって話だ。わ・か・る・か。
・・・
人と違う目線からほんのちょっとの面白さを探し出して、それを最大限広げて考える。それだけだっていうのに。お前さ、金もらってるんだろ。プロなんだろ。
分かってます。
分かってない。

男の言葉が食い気味に真由子の頭上から浴びせられた。

お前の案には面白みがないんだよ。それは最初の視点を掘り下げてないからだ。掘り下げもしない、広げてもいない。要は薄いんだよ。リアリティがない。経験不足。能力不足。それでワクワクするような夢もない。なんなんだ?お前。

何も言い返せない真由子は、それはその通りだと思い胸が締め付けられた。

もうすぐ新人が配属される時期だが、この先、お前の居場所があるのか?

ドクンと心臓が大きく脈打ち、真由子は浅い眠りから覚めた。
5月の東西線、週末だというのにその列車はさほど混むでもなく、吊革につかまる客もまばらな様子であった。
視線を上げた窓の外に常夜灯の灯りが流れていくところを見ると、列車はまだ地下のまま、きっと東陽町も過ぎていないのであろう。

もしかしたら寝とぼけて自分の肩を預けていたかもしれない隣の男性に真由子は小さく会釈し、背筋をしゃんと伸ばして座りなおした。そしてたった今の短い夢を反芻し始める。
前半はいつも言われていることだ。
ただ最後に胸を締め付けた言葉には聞き覚えがある。
今日の社内プレゼンの直後に上司の宮田から言われた言葉だった。

「もうすぐ新人が配属される時期だが、お前、今のままだと居場所がなくなるぞ。」

宮田のあきれたような視線がまざまざと甦り、真由子は身震いした。

私には何もない。私は透明な存在だ。その内、誰にも見向きもされなくなる。透明だ。私は限りなく透明に近いブルーだ。

と、そこまで思ってまた自分自身にあきれた。

はあー、、、40年も前のキャッチコピーか。センスないわ。
 

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